Monologues of Joseph
オルゴールミュージアム隠れスタッフ、ジョセフ氏が語る豆知識。
コレを読めば、オルゴールミュージアムに来たくなるかも。
第四回 自動演奏ピアノをご存じですか?
皆さん、1920年代(大正~昭和初期)に欧米の富裕層の間で人気を博した自動演奏ピアノの事をご存じでしょうか?この自動演奏ピアノは、単に鍵盤が動いて曲を演奏するだけではなく、音色に強弱を付けることで演奏者のタッチを忠実に再現することが出来る優れモノなのです。その昔、瀧廉太郎(1879~1903)がヨーロッパに留学の折、ある大ピアニストの演奏に接する機会があり、その時の感想を日本の友人に手紙で送っています。そのピアニストの名はパデレフスキー、19世紀末から20世紀初頭にかけて欧米で大活躍していました。パデレフスキーの演奏に接した廉太郎は、「確かに良きピアニストではあるが、大ピアニストとは言えない。ショパンの演奏は素晴らしいが、ベートーベンのそれは感心しない」とその手紙に書かれてあったそうです。
21世紀に生きる私達はパデレフスキーの演奏を耳にすることは出来ません。しかし、この自動演奏ピアノがあればそれが可能なのです。パデレスフキーはSPレコードに演奏を残してはいますが、録音状態があまりよくありません。一方、ピアノロールに雑音一つない演奏も残しています。当館所蔵のスタインウェイ・デュオアート自動演奏ピアノで彼の演奏記録を再現することが出来ます。
さて、皆さんその演奏を是非聞きに来てください。瀧廉太郎の言うようにパデレフスキーの演奏するベートーベンが実際にはどうだったのか、皆さん自身の耳で確かめてみてはいかがですか?
話しは変わりますが、昔、欧米のホラー映画に登場したガイコツが上手にピアノを演奏しているシーン思い出しませんか。自動演奏ピアノなるものが一役買っていた可能性大ですよね!