シリンダーオルゴールの内なるお話
オルゴール好きの皆さん、その音色聴き入るだけではなく、オルゴールの箱の中もたまには覗いてみて下さい。オルゴール演奏時に中でクルクル廻っている蝶の羽みたいなものにお気付きですか?
これは、エアブレーキと呼ばれていて、常にシリンダーを一定の速度で回転するために設置されています。そのおかげで心地よいメロディーがいつでも楽しめるわけです。さて、現代の日本製のオルゴールのエアブレーキを良く見て下さい。ゴム、又はプラスティックで作られているものが多くみられます。あなたのお手持ちのオルゴールはいかがでしょうか?
一方アンティークオルゴールの場合は、クルクル廻る少し大振りの金属羽が使われております。そして、その上部には青赤緑等の小さなボタンのような物が付けられています。これ、実は鉱物で,ルビー、エメラルドという類の硬度の高い貴石なのです。これにより、100年以上の長きに亘ってエアブレーキを摩耗から守っているのです。先人達の知恵とはいえ、このような貴石(選別に漏れたものと考えられますが)を上手く利用して作るとは、やはり、シリンダーオルゴールは芸術品として生み出された自動演奏楽器の1つだったのですね。
芸術品といえば当館には見た目はシリンダーオルゴール、音色を聴くとリードオルガンと言う珍しいチャーチオルガンなる楽器を所蔵しております。1890年代スイスで製作されており、アメリカでの販売価格が550ドル、現代の貨幣価値に置き換えるといか程になるのでしょうか?!これは、みなさんお聴きになってからの判断に委ねたいと思います。どうぞお楽しみください。