4/1~12/31までオルゴールミュージアム総選挙を開催しております。8政党、79候補の頂点を決めるべく熱い戦いが繰り広げられています。
純粋に音色を気に入って票を入れて下さる方も多いと思いますが、今回の「スタッフのひとりごと」では見た目にこだわった、所蔵品たちの鑑賞ポイントをご紹介します!
まずは、こちらフェアグラウンドオルガン!
オルガン正面に施された目にも鮮やかな装飾は、19世紀末にヨーロッパ各国で流行した美術様式「アールヌーヴォー」と呼ばれています。新しい芸術とも訳されるこの様式は、造形美術のみならず建築、工芸デザイン、ポスターや挿絵などの広告デザイン等、多くの分野で展開されました。動植物や女性をモチーフに、優美で華麗な曲線文様と、鉄やガラスなどの当時の新素材を基に造形化されているのが特徴です。
この華やかな見た目、遊園地でも見かけたことありませんか?
それがこの乗り物
メリーゴーランド!
当時は分解組み立て式の大きなオルガンがBGM代わりに音楽を演奏し、遠くまで音を響かせていたそうです。
オルゴールミュージアムに来た際には遊園地に、遊園地に来た際にはオルゴールミュージアムにぜひ見比べに来てください。
続いての見どころはそれぞれのケースです!
家庭用で楽しまれていたオルゴールはケースに華やかな象嵌細工が施されている物が多くあります。
象嵌とは象(かたど)り、嵌(は)めるもの。地となる素材を模様となる形にくり抜いて、そこにぴったりと違う素材をはめて模様を表す手法のことです。地には金属や木材、陶器などが用いられ、はめ込む素材は金、銀、貝、地とは異なる色や種類の木や陶器などが用いられています。上部の写真のケースは木に別の種類の木をはめ込んだ木工象嵌です。
貝がはめ込まれている物もあります。
象嵌細工ではなく、トールペイントが施されている物もあります。
トールペイントはもともとヨーロッパで始まり、その後アメリカに渡って広まったフォークアートです。第二次世界大戦中に開発されたアクリル絵の具の誕生により、誰でも手軽に楽しめるクラフトとして流行しました。
細かいところを見ていくと、鍵穴も一つ一つ違います。
変わった形の取っ手もあります。
ドラゴンが火を噴いているのでしょうか?
皆様は何に見えますか?
上部の写真は、スイスのメルモ・フレール社【ミラ】の取っ手です。
ミラは「不思議な星」という意味で、秋の夜空に輝くくじら座の心臓部分の星です。くじら座のモチーフになっているクジラはギリシャ神話に出てくる化けクジラのことです。生贄になったエチオピアのアンドロメダ王女を食べようとする巨大な海の怪物で、2本の大きな牙、ライオンのような顔、鋭い爪のある前脚、大きく膨れた胴体に下半身は魚という出で立ちです。ミラの取っ手はその化けクジラの前脚をイメージしているのではないのかなと思っています。
ケースの中にも注目部分があります!
実際に演奏している曲が何曲目かに当たるのかを教えてくれるチューンインジケーター。指し示す針が鳥になっています!
そして曲目が書かれているチューンシート。
文字は達筆すぎて読めない物もありますが、物によってデザインが全然違っているのでぜひ注目してください。
音色以外にも見どころは沢山ありますので、演奏の合間に細かいポイントにも目を凝らしていただきたいです。
オルゴールミュージアム総選挙の投票期間も残り5カ月を切りました。
今のところバンジョーオーケストラが1位を独走中ですが、じわじわと順位を上げてきている所蔵品もあります。シリンダー党のオーヴァチュアは7月のひと月で14位も順位を上げ、トップ10に入ってきました。まだまだどうなるか分かりません。
オルゴールミュージアムに来た際には、音色ももちろんですが今回お伝えした鑑賞ポイントも踏まえて見た目にも注目してください。
お客様の一票によって、開館20周年の主役に輝く所蔵品が決まります。音色でもデザインでも気に入った所蔵品がありましたら、ぜひご投票ください♪